《NYUMAN OF AFRICA》
“ニュマン オブ アフリカ/アフリカの美”


 昨今、ずーっと微熱状態の続く、エスニック雑貨の世界。中でも強烈な光を放つがために、「わからん」「クセがありすぎ」「ちょっとキモチワルイ」と好き嫌いがはっきり別れ、アングラな位置付けの雑貨群があります。ヨーロッパでは市民権があり、「専門店」まであるのに。
《アフリカ物》です。
怖いもの見たさ的なスタンス、“未開部族のマガマガしさ”を喜ぶ、先進国意識(?)をお持ちの方、ヘンだから好きというフィーリング系の若い方等々、その“好き”さ加減も様々です。
 探すにしても、「何という部族のどういうモノ?」「ホンモノかレプリカか?」という根源的な疑問すら糸口がなく、まさに迷宮世界。
『?』だらけのこの分野に興味をお持ちの総ての方に、以下の言葉を捧げます。

「オレ、何にも似てないものをこしらえてるんだよ。」
ボボ族(ブルキナファソ)の彫刻師。

 私はこの言葉に出会って、急に目の前が開けた様な気持ちになりました。さぁ肩の力を抜いて、“感じる”殊にしましょう。
※タイトルのニュマンとはバンバラ族(マリ共和国)の言葉で“美しい”の意。英語のつづりは表音文字としてお考え下さい。


チ・ワラの仮面/頭飾り(MASK of Tejiwara)/バンバラ族:マリ共和国

 モチーフは見てのとおり、カモシカです。
 アフリカの彫刻類の中では比較的、ある種の「分かり易さ」を備えているもののひとつ言え、アフリカン・オブジェの中ではメジャーな存在。映画にも小道具として登場したのを記憶しています。
 「ダーティハリー」シリーズのpart2かpart3に、ハリー(クリント・イーストウッド)の自宅のベッドルーム・サイドキャビネットの上に飾られているシーンをみつけ、感激したのを記憶しています。もっとも、お話し自体はドン・シーゲル監督のpart1が一番と思いますが。

本来の用途としては
 A:葬送儀礼
 B:農耕の節目の儀礼
に登場します。それぞれの機会に演じられる舞踊の際、“ケ・クレな(力のある)”踊り手の頭にかぶられ、Aの場合、死者が祖先の世界に導かれ、Bの場合、作物の豊饒が招来されると考えられています。
 帽子に相当する部分には、タカラ貝がくくり付けられています。かつて彼らの社会では、貨幣の代わりをしていた貝です。ここ一番の儀式に、というのがよく理解出来ます。日本風にいうなら、《豊饒》の神様といったところでしょうか?
ちなみに、チ・ワラには男神と女神の像があり、子持ちの像もあります。写真は男神の像です。
¥25,000


ゴリ・プレプレの仮面/バウレ族(コートジュボアール)

 こちらも、この筋では大変にメジャーなマスクです。
黒一色のアフリカの木彫りの中では珍しく、黒、白、赤の三色使い。ちなみにこの三色は「文化の三原色」とも言われ、わが日本も含め、各国・各地で共通しています。人類に共通の色彩感覚を想起させる配色なのでしょうか。「コクレ/赤」は木の実から、「ウフェ/白」は粘土から、「ブレ/黒」は樹液で木炭を練ったものから作られます。
 「黒」くするのは、木炭の力で木を腐食・虫害から保護する意味。オミヤゲ品的なものではない、村での用途が備わった木彫りで「白木」は基本的には存在しません。すぐにシロアリの食糧に化けてしまうからです。
 また、青や緑、黄色などのものは、西洋からペイントが持ちこまれてからの色で、彼らのトラディショナルな色ではありません。
 「ゴリ・プレプレ」とは、バウレ族社会の世界像の中で曖昧な位置にあり、解釈も何パターンかありますが、雨の神ニアミエの手に負えない息子、と位置付ける文献が多いようです。その円形の顔は太陽を、角は豊饒を表す、とも言われています。
 また、顔の形・角のバリエーションも色々とあり、四角の輪郭のもの、角が非常に小さく、顔がデカイものなど様々で、顔の回りの幾何学模様と小さく突出した目が共通する以外、様々に姿をかえて制作されます。
¥33,600


安産祈願の彫刻/アシャンティ族(ガーナ)

 アシャンティの若い女性が妊娠中、背中にくくりつける木彫りの像。そうすることで、将来、強壮な子供が授けられると言われています。
 ガーナでも他のアフリカ諸国と同様、乳幼児の生存率は低く、自分の子供が働き手となるまで永らえるのは、各国共通、母親の切実な願いでしょう。
 この像はまた、アフリカの人物像に共通の造形思考を実によく備えており、頭以外の胴体は円筒のように、細部表現を省略し中心軸を芯に左右対称、脚と手は極端に小さく省略されています。
 我が国の「道祖神」のように、いわゆる男根的形態をとっており豊饒と多産の祈願に支えられた、性器の具体的表現と言えます。
 頭の形状はまん丸ですが、かつてのネイティブアメリカンの「ムーンフェイス(満月顔)の女性は良い母親になる→多産の象徴」、という信仰とリンクするものがあると思います。この信仰はオセアニアの部族の中にもあったように記憶していますし、我が国の“平安美人”の肖像にも同様の信仰が見え隠れしているように感じます。
ちょっと見は、コワモテでマガマガしいものととらえる方もいるかも知れませんが、全く逆のポジティブな性格のものですからご安心を。
¥12,000


スツール、あるいは洗濯板/セヌフォ族(コートジボアール)

 セヌフォのおかみさん達、御用達の万能ツール。ある時は水辺でお洗濯に、ある時は井戸端会議の腰掛けに、またある時は農作業など仕事中の下半身をサポートするツールに。と、大活躍します。
 確認はしていませんが、イモなどの粉をこねるのにも使用する、という説も聞いた事があります。まさに主婦の友。
 洋の東西に関係なく、奥様の家事をサポートするグッズは引く手あまたのようで、ちょくちょく見掛けますので、相当な数が輸入されているのでは、と推測します。
 ただ、中にはアジアのどこかで、日本の雑貨商がデッドコピーさせたインチキ商品も出回っているらしく、注意が必要な一品かも知れません。
 表面に、木炭のかわりにコールタールなどが塗ってあったり、チーク材などアジア原産の材質のものなどは、凝ったほうが間違いないと言えます。

 面白いのは、他のアフリカの木彫り品と同様、パーツ分割されておらず、ブロックからの削り出しである、という点です。大変な手間と時間を要する仕事と思います。材質もマメ科の硬い木を使用していますから。
 恐らく、セヌフォのおかみさんの長年の酷使に耐えるには、ワンピース構造が良いのでしょう。その意味では市場の要求を汲んでこしらえた「用の美」を感じさせる一品です。それでも、家具屋の私は、「ホゾ組み」などの木工技術を、セヌフォの木工屋に教えてあげたくなります。削り出しで作る手間を思うと.............。
¥33,600


穀物蔵の扉/ドゴン族(マリ共和国)

 ドゴンの民間伝承のモチーフが刻みこまれた、逸品です。
 カナガという、天と地を象徴する模様や人物像のレリーフは、彼らのルーツを表しています。
 彼らの間には、「自分達の祖先は空から降ってきた」という破天荒でオリジナリティ豊かな伝承があり、彼らの世界観、来歴、などはスリリングなSF小説を読んでいるようです。
 その「解明」は、《神々の指紋》の作者や、《X-ファイル》のエージェントにおまかせするとして、「地球の水は彗星によってもたらされた」という現代の学説と、ドゴンに於ける「水の神」の伝承、そして、空から....という共通するキーワードなどは私の妄想をかきたてます。
 その豊かでオリジナルな世界観からか、かつて平野部で大繁栄を誇ったドゴンの人々も、今は他の部族に追い立てられ、荒涼とした岩山で暮らしています。故に、貯蔵してある収穫物を害獣から守る為、頑強なものを作る必要がありました。この扉もサイズの割にかなりの重さです。比重の重い・硬い木材を使用している証拠です。そして表面には浮き彫りなのですから、想像しただけで頭の下がる仕事です。
 サイズは扉としてはかなりコンパクトですが、人ではなく、物の出し入れ用だったのでは、と推測されます。
 彼らは「祖先の変わり身」として陸亀を一家に一頭飼育していますから、案外、彼(彼女)用の扉かも知れません。
¥32,000


バラフォン(アフリカンマリンバ)/?(マリ共和国)

 部族は明らかにされていませんが、ドゴンか、(マリに住む)セヌフォの人々のものだと思います。
 マメ科の硬い木を鍵盤上によく乾燥させた後に並べ、それぞれの下にヒョウタンを共鳴胴としてぶら下げた構造です。木琴やマリンバの原型にあたる楽器です。
 ヒョウタンという材料は、アフリカの道具素材として欠かせないもののひとつで、小物入れ・ケース類・水筒・農機具、そして楽器のパーツとして幅広く利用されています。
 楽器としてはこの他、《グルケル》や《ニャティティ》という名で呼ばれるギターの祖先の胴体部分や、内部に植物の種を乾燥させて詰めたマラカス的な《バティカ》という楽器などが知られています。(私共のショップにもありますよ)
 もともとは、農耕の際、当番が畑の横で鍵盤をたたいて、畑や人に害を加える鳥や獣を寄せない為に使用していた、とされています。
 これをゴムの細ヒモを巻き付けたばちでたたいて演奏するのですが、おおざっぱな作りとは裏腹に、スコーンと抜けた、深みのある涼しい音がします。
¥9,800
 
当店で音を確かめられない方の為(?)にCDをご紹介しましょう。
 ガーナ
アフリカンマリンバの第一人者、カクラバ・ロビという人の演奏(ライブ)です。ガーナではこの楽器を《コギリ》と呼んでいますが、基本的に同じものです。ただし、ロビ氏の楽器はもっともっと鍵盤数も多く、微妙な音色をかもし出す為に、ヒョウタンの口にクモの糸を張り付けているそうです。
 1983年から時々日本で演奏活動をなさっているようで、98年には仙台でもライブを行っています。私は残念ながら出張でいけませんでしたが。
 でもCDも大迫力ですので、興味と機会があればご一聴を。

《KAKRABA LOBI LIVE》 CD no.COCO-0001
conversation co ltd 1994

多分、まだ入手出来ると思います。

SIMPLE&WARM
daimaru
by Dr プー