座りの美学/ウィルクハーン
1.2

「シートにお尻を落とす位置さえ間違わなければ、
そのイスを評価するのは座る人の体格と目的です!」
これは私達がいつもお客様へ申し上げている言葉です。

今の時代は眺める為にイスを購入する方も数多くいらっしゃいますが、
もしもあなたが腰掛ける為にイスを購入されるとしたら、「正しく座る」事なくして良質な座り心地に出会うことは出来ません。
しつこいようですが「イスは腰で座るもの!」です。

さて、いささか耳の痛い話ですが、「ON/OFF」がはっきりしていないと言われる私たち日本人?
仕事を家へ持ち帰ってしまう事の多い方々にはたのもしいアイテムです。
「ここに座りなさい!」とイスが教えてくれる。そんなイスはいかがでしょうか?

Modus/モダス
Design: Klaus Franck,
WernerSauer,
wiege,
Fritz Frenkler,
Justus Kolberg

Modusチェアは1994年のドイツの家具見本市“オルガテック”にてアーロンチェアと同時に発表され、レッドドットをはじめ実に多くのアワードを受賞しました。発売開始以来10年を経た現在、その製品情報が世界中に浸透する中、OAチェアに本来必要な要素、無駄を省いたその本質を見抜くことの出来た堅く賢いユーザーに愛用されております。


■エコロジー&ロングライフ

溶接や接着剤を使用せずに組み立てることにより、部材ごとの分別そして交換が可能なシステムになっており、またベースなど金属部分はリサイクル効率の良いアルミを使用しております。

■エルゴノミクス(人体行動性理学)

着座時における脊椎、筋肉、代謝、血液循環などの生体的欲求は、movement-(動き)に集約されます。※参考「人の身体はジッとしていられない/バランスチェア」この問題を解決するため、ウィルクハーンが提唱したのが『dynamic sitting-』です。無意識での姿勢の変化を妨げず、その動きに合わせて自動的に正しくアジャストし、自然にその動きに向かうよう促すことを実現する研究から開発されたのが、1980-年世界初のエルゴノミクスチェアとしてセンセーションを巻き起こしたFS-Line-(FSライン)でした。

FS-Line
Design: Klaus Franck, Werner Sauer

そしてそこで培ったノウハウをさらに進化させた製品それが“モダス”です。デスクワークやPC作業を考慮して、通常の作業する姿勢はマイナス4度の前傾ポジションになっている為、大腿部の圧迫を軽減し、背筋を伸ばし、胸を張った状態で作業しやすく、酸素を肺へ多く摂取しやすく肩こりや腰痛などが改善され集中力を高めます。
また人間工学に基づき前部に湾曲したフレームと背もたれが第四腰椎をサポートすることで、どのような仕事での姿勢をもサポートしてくれ、長時間座っていても驚くほど疲労を軽減してくれます。
オート・シンクロ・アジャストメント構造を採用し、リクライニング時に座と背が連動して動く構造により、第四腰椎を伸ばし十分に体を伸ばすことが出来ますので、それでもどうしても少しずつ蓄積されてしまうストレスから、意識と体を開放してくれます。

■ミニマリズム(良い物ほどシンプルでありそして効果的)

実はモダスには操作レバーが2つしかありません。シートの高さ調整レバーともう一つはロッキングを固定したりフリーにしたりする為のレバーです。あとはロッキングの堅さを調整するグリップのみが付いているだけです。
ウィルクハーンのイスは専門知識や複雑な操作を必要としません。人間工学的に正しい姿勢を得られるように誰にでもアジャストし、集中とリラックスの切り替えを円滑にしてくれます。

■昨今のOAチェアにはやたら機能の多さに驚かされます。

商業主義の中、メーカー間の競争が激化し競争入札やその前のプレゼンテーションにその成績が大きく左右されるコントラクトマーケットが中心の事務機系家具の宿命なのでしょうか?そのイスの持つ機能の項目件数と価格争いばかりが目立ち、本来OAチェアの向かうべき方向性を逸脱した製品が氾濫しているように思えます。
実にたくさんの装置は付いていても、その機能と機能との間にコンセプトのリンクが感じられず、それはまるで子供達が見る戦隊ものの番組に出てくる対戦型ロボットのようであり、「そんなに欲張ってたくさんの武器を身に付け過ぎたら敵と戦い難いだろ!」ってな感じです。
それは当然足し算の法則で、フォルムも仕様書の内容もそれはとても派手なものになりますので、カタログページや売り場での商品陳列の中、そしてクライアントへ提出するプレゼンテーションボードや提出書類上ではとても目立ちます。
つまり「売りに走る」と言う点では実に都合が良いのでしょう。
理念の背景がない機能や装置で着膨れした製品は視覚的に強いインパクトはあっても、決して美しい姿とは思えません。(私だけ?)
製品を生み出す「心」はその「姿」にも影響を及ぼすものだと思います。
もし今の時代ポール・ヘニングセンが生きていたらやはり「時代の偽善」と言ったかもしれません。

ウィルクハーンのドイツ本社では、社員が目隠しをして自社製品に座らせられ、それがなんなのか当てる研修があるそうです。この辺にウィルクハーンという会社の企業スタンスの一部が垣間見ることが出来ます。

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